環境教育論分野のトレンチャー・グレゴリー(Gregory TRENCHER)准教授と、カールソン・ジョーダン(Jordan CARLSON)特別研究員の研究グループは、スイスのEPFLおよびハンブルク大学の研究者と連携し、世界で最も多くオフセット(カーポン・クレジット)を購入している20社を対象に、これらのオフセットが信頼できる脱炭素効果を持つか、各社のオフセットの品質を分析しました。本研究の成果は、今年8月に「Nature Communications」に掲載されました。
同研究チームは、脱炭素効果のリスク、オフセット事業とクレジットの年数、オフセット事業の実施国、クレジット価格といった観点から、各社が購入したオフセットが業界の基準や高品質の指標を満たしているかどうかを評価しました。
その結果、全社が主に低品質のオフセットを購入していることが明らかになりました。これにより、企業の脱炭素化を加速するためには、オフセットに依存することなく、脱化石燃料に向けた設備投資やビジネスモデルの変革などを通じて自社のサプライチェーン内で温暖化対策を強化することの重要性が示唆されました。
今後、トレンチャー准教授らは、脱炭素化に向けてオフセット市場における問題を打開するための切り札として期待される「炭素除去」の市場発展に注目し、世界の大手企業がどのように炭素除去オフセットを活用しているのかを明らかにする研究を進めていく計画です。
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京都大学のプレスリリース(英文のみ)